ワタシたちが出会ったのは、共通の趣味であるバスケコミュニティでした。
奥様を初めて見たときの印象は、ただ一言「可愛い!」でした。
それからは「バスケをしに行く」というより、「奥様に会いに行く」日々。
けれど、奥様はあまり来ませんでした。
理由を聞いてみると、「子供を寝かしつけて、間に合えば行く」とのこと。
「子供がいるんだ!」と知った瞬間、さすがに動じない私も戸惑いました。
ところが、後から聞いた話では「離婚したばかり」だとのこと。
その瞬間、心の中でガッツポーズ!その後、少しずつ距離を縮め、ついにお付き合いすることになりました。
交際当時、奥様の長女は3歳でした。このまま付き合い続ければ、その先には結婚があります。そして、結婚すればワタシは「パパ」になる。
今まで子供と接する機会がほとんどなかったワタシ。
自分が子供好きなのかすら分からない状態で「パパになる」と言えるのか…テキトーなワタシも、流石に真剣に考えました。
けれど、どれだけ考えても答えは出ません。そこで発想を変えました。
「パパは、自分がなるものじゃない。長女に認められて初めて、パパになれるんだ。」
知らない男が急に『パパだよ』なんて…勘違いにも程がある。時間をかけてパパになろう。
「親子になる自信はまだないけど、一人の人間として仲良くすることならできる!」
そう思うことで気持ちは少し楽になりました。
しかし現実は厳しい。長女はワタシと目が合うだけでギャン泣き。
奥様に「ちょっと見てて」と頼まれても、抱っこどころか近づくこともできません。
そんなとき救世主が登場!それがカルパス(駄菓子のサラミ)。これを渡すとニコニコする長女。しかし、食べ終わるとあっさり立ち去る…。その頃のワタシは、カルパス以下の存在でした。
パパ&結婚にむけて頑張るワタシ。そんなワタシに、奥様から大切なお知らせが。
「実は妊娠してるんです。」
当然ワタシの子ではありません。前の旦那さんとの子です。奥様は続けます。
「どうするか、決めてほしい。」
ワタシには決められません。そして…ようやく出した答えは、
「…堕ろしてほしい。」
その後、奥様は産婦人科へ行きました。しかし帰ってきた奥様はこう言いました。
「おろせなかった。」
エコーの写真を見て、どうしてもおろせなかったそうです。
泣きながら話す奥様の姿を見て、私は決心しました。
「受け入れるしかない!」
実は、どちらでも良かったというのが本音。当時は言えなかったですが、後で奥様に伝えると「サイテー(笑)」と一言。
こうして、ワタシたち家族は娘が二人に増えました。
結婚に向けて、ついに私の両親へ報告することに。ワタシの親へ報告に妻と長女を連れて実家へ。まず最初は妻と長女を車で待機させ、ワタシだけ家に入り母へ報告。
すると案の定の大反対!
『なんでアンタがいきなり親になるの!?』
いやいやみんな親になる時はいきなりでしょ!とツッコミたかったがここは我慢。
すんごい怒って色々言われたが、とりあえず全部聞く。そしてワタシのターン!!
『これは相談では無い。報告だ。』
『祝福してくれないなら別に良い。』
『息子には会えるけど、孫には会えない老後になる』
この瞬間、ピシッと母が石化した様に固まる。
母『おめでとう!』
ワタシ『じゃ今から連れてくるね』
そして奥様と長女が母に対面!
さっきまであんなに怒ってたのに、コロッと変わってすんごい嬉しそう。
ここでワタシが母にもう一撃!
『ちなみに妊娠中です。当然ワタシの子じゃないよ!』
母『… 』
こんな感じでしたが、今では孫大好きな良いお婆ちゃん!めでたしめでたし。